自然エネルギーって高い?不安定?【開催済】

世界に目を向ければ、自然エネルギーの普及が進み、自然エネルギー 100%で運営することを目標にしている企業や自治体が増えています。
日本においても、実現することは可能でしょうか。

東京都環境局長として地球温暖化防止策をいくつも具現化させてきた 大野輝之氏をお招きし、世界の事例を参考に、日本における自然エネル ギー政策の道しるべについてお話しいただきました。
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日時:2017年10月1日

場 所:練馬区役所 地下多目的会議室

講師:大野輝之

 

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自然エネルギーって高い?不安定? ~世界の状況・日本の現在~

2017年10月1日に、自然エネルギー財団常務理事の大野輝之氏の講演会が開催されました。会場を埋め尽くした聴衆からは熱心な質問が多く寄せられ、たいへん有意義な講演会となりました。

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【講演要旨】

世界では自然エネルギーが急速に増えている

2014年、世界では風力発電が原発の設備容量を抜き、来年末には太陽光発電も原発を抜く勢いです。実際に作っている電力量も、2016年には自然エネルギーが原発の2倍以上となりました。

2016年に世界の国々で自然エネルギーが賄った発電量は、スウェーデンで63%、ポルトガルデンマークでも50%以上を達成しています。イギリスは必ずしも自然エネルギーに熱心ではありませんが、それでも2010年から2016年の間に7%から23%に伸びています。日本は2016年に15%でした。原発維持のフランスでも、自然エネルギーを基幹産業にすると決め、2030年までに40%をめざす一方で、原発も2025年までに75%から50%に減らす方針です。

アメリカでは、カリフォルニア州とニューヨーク州が2030年までに自然エネルギー50%を目標に立てていて、ニューヨーク州では、カナダの豊富な水力発電から海底送電線で電力を運ぶ計画が着々と進んでいます。テキサス州は風力発電のメッカ。ハワイ州でも、2045年までに自然エネルギー100%を目標としています。

中国は、太陽光も風力も世界でトップです。特に太陽光は、この2年間で75GWも増えました。2015年までの累積量よりも多いという、非常に急速な伸びです。

疑問に答える① 自然エネルギーは不安定?

ドイツでは、2006年に自然エネルギーが11.6%で、停電時間は年間21.53分でした。2014年には自然エネルギーが27.3%に伸びたにもかかわらず、停電時間は年間12.28分と減っています。自然エネルギーが多くなると停電が増えるわけではないことがわかります。

デンマークでも、38.5%が太陽光や風力などの変動型自然エネルギーで賄われていますが、電力供給は問題なく行われています。日本の場合、10%以上が変動しない水力発電で、変動型自然エネルギーは4.8%に過ぎないので、まだまだ大丈夫です。

では、なぜ大量の変動型自然エネルギーを導入しても電力供給に支障がないのでしょうか?

第一に、基数を増やし、広い範囲で補い合えるようにすれば、発電量の変動は小さくなり、安定します。

さらに、予測技術の進歩により、変動にも十分対応できるようになっています。今年8月の皆既日食で、太陽光発電量が激減した時間がありましたが、欧州でもアメリカでも、他の電源を用意したり需要をコントロールするなどして、十分対応できました。

疑問に答える② 自然エネルギーは高い?

 自然エネルギーのコストは、日本以外では火力発電と同額か、より安くなっています。欧州では太陽光発電のコストが2016年までの6年間で4分の1になっていると、日本の経産省のWEBにも載っています。最近、丸紅がアブダビで2.42kWhで太陽光発電プロジェクトを落札した例もありました。日本でも、2012年から2016年の間に、4割安くなっています。

いま何故、自然エネルギーが大切なのか

シベリアから永久凍土が解け始めると、メタンや二酸化炭素が出てきて悪循環になり、気温上昇が止められなくなると言われてきました。ところが、その現象はすでに始まっています。大気中の二酸化炭素濃度は、以前は年間1ppm程度だった増加幅が近年増え、現在は推定経年平均濃度が400 ppmを越えてしまいました。パリ協定で定めたように、地球の平均気温の上昇を産業革命前の気温から2度未満に抑えようとすると、今世紀後半には、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があり、また、世界の確認化石燃料埋蔵量の8割は燃やしてはいけないとされています。

そのため、世界では、化石燃料からの投資を引き揚げる取り組みが開始され、自然エネルギー拡大の取り組みが本格化しているのです。自然エネルギー100%をめざす世界のトップ企業や自治体も増えています。

ところが、日本の自然エネルギー目標は低いままです。2030年の目標は、自然エネルギーが22-24%、原子力が20-22%、そして火力が60%近くとなっています。最新の高効率な石炭火力でも、排出係数は従来型天然ガスの約2倍であるにもかかわらず、現時点の日本では、42基もの石炭火力新増設計画があります。

原子力で20-22%というのは実現がたいへん難しく、それに届かない場合、さらに火力で賄うという結果になりかねません。そうならないために、自然エネルギー比率をもっと引き上げる必要があります。

日本で自然エネルギーを増やしていくためには?

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  • あまりに低い国の導入目標を引き上げていく
  • 電力会社にとっても、系統アクセスを解放し、自然エネルギー投資拡大が発展の道であることを示していく
  • 環境アセスや農地利用規制のあり方を是正していく
  • これを実現していくためにも、地域や自治体から自然エネルギーの拡大を求める声を高めていく

市民ができること

  自然エネルギー比率の高い電力会社に切り替えたり、自然エネルギーの発電設備に出資したりすることで、自然エネルギーを市民が求めていることを示し、政策を動かすことができるのではないでしょうか。

自然エネルギー財団のWEBに、参考となる各種レポートが掲載されています。

 

講演要旨ダウンロード → 大野輝之氏講演要旨20171001